ひよこ組の様子から「こどもの探求」について、子どもが、何かを学ぶのに「探究」という言葉で様子を表すことがあります。
今回は「この探究って、なかの幼稚園ではどうなっているの?」というところをご紹介します。
また、東京都では、子どもの探求を支えるのに「すくわくプロジェクト」というのがあります。なかの幼稚園でも、こちらに参加しています。
幼稚園の様子の前に、探究という言葉について少し調べてみました。

水を見つめる。ボトルからはこぼれてるけどね~
辞書では「事物の真の・姿(あり方)は何かという事を探り、見きわめる事」(新明解)とありました。
文部科学省のホームページの中では、総合的な学習の時間についての部分で、「『探究』とは、実社会や実生活の中から問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現する学習活動のこと。」とあります。
幼稚園の子ども向けの言葉に置き直すと、
「自分の身近なものに、何だろうと疑問を持ち、自分なりに目的をもって調べたりしてみて、考えてみること」
という事ですね。幼稚園時代の子どもにとって、自分の生活は発見や疑問に満ちているので、この探究がたくさんあるのが想像がつきます。
だって、子どもが成長するにつれて、自分のやれる事という体の発達が変わるので、新しくできることが増えてきて、それにつれて出てくる疑問や発見があります。
そして、体だけでなく考え方・認識についても発達するにつれて変わってくるので、それにつれても又新しい疑問や発見があります。
なので、幼稚園時代の子どもたちの生活は、たくさんの発見や不思議や探究にあふれています。こういう感覚をsense of wonderっていうんでしょうね。
というわけで、幼稚園の生活にはたくさんの探求する場面があるのですが、今年は、満三歳・ひよこ組の子どもたちが砂・水について発見や探究をする様子を追っかけてみようと思っています。
満三歳児ひよこ組の探究??
まず、なんでひよこ組なのか。難しいように「探究」を捉えると、大きい組が取り組む物ように思えますよね。なんで一番小さい組についてなのか、です。
いろんな要素がありますが、なんといっても毎年この歳の子たちが熱心に探究している様子があったので、今年もきっと自然に「自分で実際にやってみて、確かめてみる」という様子があるだろう、と思ったのが大きいです。
まずは、
「大人が仕掛けるのではなく子どもが自然に思う疑問を追うことを支えてみよう」
という事です。これは、私たちは「探究」という言葉を、大人がお膳立てする学習ではない、と思っているからです。もちろん、大人が手伝う事とかはあると思います。
そして、小さい組の子たちはよりダイレクトに疑問と試行錯誤の様子が伝わってくるのと、それがその子の経験というのか、学びになる様子がわかるだろうという事からです。
最後に、今の東京の生活で、砂や水を好きに使って遊べる時間と場所と仲間はなかなか少なくなってきているのですが、本来とっても大事な経験です。
しっかり幼稚園で砂や水の体験をしていって欲しい、と願っての事です。それでは、今年のひよこ組はどんな体験をしてどんな探求の様子があったのでしょう?
ひよこ組の様子、一学期の大体の様子。

学期、4月の最初。この緊張感ですよ
一学期の最初の4月、ひよこ組の砂や水、それが混ざった泥に対しては二つに分かれていました。
砂って、たのしい!と思っている子と、砂をさわるのは嫌!泥なんて汚い!!と思っている子です。
砂がイヤ!という子は砂遊びは楽しそう、と思っても、触りたくないので、困ります。そして、先生の手を使って混ぜてもらったり、キレイに砂がついていない道具をおそるおそる使ってみたり、という様子でスタートしました。
砂や水に対して、汚いなどの抵抗がない子は、目に入った砂や水やカップでパッと遊んでいきました。


先生と一緒に。年長組もつきあってくれてます
5月、そのうち、砂はイヤ、と思っていた子も段々慣れてきて触れるようになってきました。楽しかったり、怖い事ではないとわかったりしてきたんでしょう。
砂をカップに入れて混ぜて、動く様子や、そこに水が入って形や状態が変わる様子が楽しかったみたいです。
だんだん、先生の手じゃなくて自分でスプーンを持ち、混ぜてみたり、スプーンも自分で持ってきたりする様子が増えていきました。
周りで、砂で楽しく遊ぶ子たちがいて、それを見ているのも、大きいですよね。
そして、暑くなってくる頃。六月ころに、暑くなってくると、水で遊ぶ子が増えてきました。
そこで、先生達がたらいに水を張って出してみると、みんな水遊びに!やっぱり、水遊びって楽しいのと、暑い時には冷たい水の感触がうれしいですよね。
その後、お部屋の前にデッキを組み立てて、プールも始まりました!
7月、いよいよプール本格開始。水をそっと触ってみるところから始まる子、そもそもプールには近づかない子、反対に水遊び大好き!の子、いろんな様子がありました。
ここでも、先ほどの砂遊びと同じく、楽しく遊んでいる他の子の様子を見ていて、また数日見て安心できたりもして、だんだんにプールに入って水遊びを楽しめる子が増えていきました。
砂場では、先生の周りから始まった山・川づくりの時に、水が流れるのが楽しくなって、タンクで水を汲んでくる子が増えました。
最初は先生が汲んで流していたのが、子どもが「行ってくる!」と水道に行き、水を持って来て、流す。それを見つめるまわり。そして、次の日に「あれまたやろう!」続いていく様子がありました。

虫を含め自然の物への興味や態度は、周りにいる人が楽しんでいるか嫌っているかがその子の態度に関わるそうです。
さらにいえば、そのまわりに大人がいて、言葉でやっていることや感じたことを伝えてあげると、言葉の獲得にもなっていきます。
ひとりで淡々と遊んでいるのと、周りに他の子や他の大人がいて、見たり聞いたりすることは、この時期の子どもには大事なことですね。

まずは着衣のままで水に入ってみる。これは、プールの時間の最後にわざと残したプールに入ってみたところ
なかの幼稚園では、プールは学年ごとにあるので、自分のクラスのすぐそばにあります。ひよこ組では、ホントに部屋の目の前です。そこで、入りたい子が遊ぶ。
緊張したり、嫌だと思う間は強制されたりしないで様子を見ていられる。遊んでみたいと思ったらその時に参加できる。
水遊びって、着替えたりもあるし、いつもと感触の違うこともあるし、安心できて遊べるがいいですよね。
園長先生のつぶやき
さて、ここまで子どもたちの様子を書いてきました。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、子どもたちは様子が変わっていく事がたくさんあります。砂がイヤだったのが、遊んでみたくなる。汚れるのがイヤだったのが、工夫しながら遊んでみる。
そして、砂場で他の子と協力して山や水を流す中でどんどん発展していく遊びを楽しむ子たちもいます。
イヤだコワい、と思ったことが出来るようになる、というのには先生たちの支えや工夫があります。
4月に砂に触るのがイヤだった子。楽しい!汚れても大丈夫、と思えたんですね。
例えば。朝来たときに、子どもの目に入る場所に砂やカップなど遊び出せるものをわざと置いておく、といった事です。何もなければ素通りかもしれない場所に、砂とカップとスプーンがあると、触ってみる子がでます。
それが遊びになっていきます。それを次の日もまた遊び出せるように、と、その子が何を楽しんでいるのか気にかけます。水が楽しいならカップを、実や花を使うのが楽しいなら園庭から拾ったり採ってきて置いておく。
汚いと抵抗がある子には、ちょっと洗ってきれいにしておく。日々、先生達は子どもの遊びが広がって積み重なっていけるようにさりげなく動いています。
また、道具もケンカしないで遊び出せるように用意しています。一人が遊び出すと、3人4人と増えていく時、ひよこ組の年齢ではまだかわりばんこ、なんてできません。
パッと遊び出せるだけの数をすぐ取れるところに確保しておく。そして集まってきたら「それ使いたいんだね、こっちにも同じのあるよ」「貸してって言ってみる?」など、子どもの様子でどうするといいのかを伝えつつ、遊びが続くのを手伝います。
そんな風に先生達の交通整理がうまくあると、子どもたちも遊ぶ時間が長くなっていきます。
そして砂遊びの技術があがっていくのと同時に、そうやって長い時間遊ぶことで、自分でやろうとすることや、他の子と一緒にやる事、他の子の様子を見ること、といった、仲間関係の経験も積んでいきます。
子どもの楽しい!を支えることで、沢山の学びがありますね。








これは、どうも二つの理由があるみたいです。
まず、1つ目。経験から。それまでにあんまり「砂で遊んで楽しかった」という経験がない・そもそも砂遊び の経験がない、と、砂が手に付いたときに違和感がとってもあるみたいです。
また、保護者が「汚い」と思っていると子どもに伝わるので、汚れることを良しと思えません。
お母さんが「ほら砂で遊んでいいよ、汚れてもいいよ」と言っていても、過去に手づかみでものを食べた時や何かで汚れたときに「汚い、やめて、きれいにしてて」と言ったりしていると(大人はついそう思いがちですよね~)子どもは自然に汚れることを避けます。
こういう経験から汚いと思って触れない子、というタイプは、楽しそうと思えることと、実際に汚れても怒られないとわかってくると遊んでいけるようになります。
2つ目。感覚が関係している子。これは、手の感覚などがとても繊細で、砂が付いたり泥が付いたりすることが痛いという感覚に近い、という事があるんだそうです。
このタイプの子は多くはないですが、時々います。でも、強制せずに待っていると、本人がやってみたいと思うと遊んでいける工夫をしたり慣れたりして、遊んで行けます。
この緊張感ある持ち方!汚れたところは触りたくないし、指が汚れないように、というのが伝わってきたます
逆に、砂や水が大好き!な子も多いですよね。これは、この感覚が楽しいってことだと思っています。
人間、成長するときに『その時に獲得している能力を発揮するような行動が楽しいと感じる』という事があるそうです。
だから、小さい子たちにとっては、砂の感触や形が変わる事など砂という物体や、液体という特性の水、またそれが合わさる泥、というのはとても刺激的なんでしょうね。
幼稚園で見ていると、その子の発達に満足なくらい触ったり遊んだりすると、砂遊びを卒業していくようです。
それまでにかかる期間はその子によって違うのがまた面白いですよね。多くの子は、砂場遊びの技術を発展させながら幼稚園の間は砂遊びが好きな子が多いです。