なかの幼稚園が「大事にしているもの」〜なぜ給食よりお弁当?

「なかの幼稚園が大事にしているもの」として、前回理事長先生から、なかの幼稚園はどうして他の園とちがう特色を持つようになったのか、そのきっかけや園舎へのこだわりなどについてを寄せてもらいました。

なかの幼稚園が「大事にしてるもの」参観の代わりに理事長から

2020年7月20日

 

今回は、それに続いて、「お弁当」についてです。理事長先生が思う、お弁当の大事なポイント。なるほど、そんなところを願っているのかと、思う方もきっといらっしゃるでしょう。是非御一読下さい。また、音声でも作っています。健先生(理事長です)の声です、懐かしい!という方、聞いてみて下さい。

 

 

理事長先生から

なかの幼稚園 お弁当

「お弁当を毎日持参する幼稚園?!」こんな声が聞こえてきそうですよね

 

お母さん1
夫婦二人で仕事をする時代、朝夕の食事に加えてお弁当まで作る余裕は…
お母さん2
昼食だけでも、栄養士の方がプランしてくれた給食を食べることができれば安心です!

 

なかのはそれでもお弁当。子ども達にお弁当で身につけて欲しいと願う力があるからなのです。

 

 

弁当を考える!弁当の時間で育てたいもの!育って欲しいもの!

「なぜ給食よりもお弁当を大事にしているのか?」

 

そのお弁当の時間に育って欲しいもの身につけて欲しいもの。そんなことをお話しさせてください。あるお母さんに、

 

Bさん
なぜ、なかの幼稚園はクラスごとグループごとに食べ始めるのが違うんですか?

 

という質問を受けた職員がいました。

そこで思い出したのは、数十年前、私立幼稚園協会の公開保育で給食のシーンを見せてもらった時のことです。

先生の「机の上に手を置いて、お指とお指を合わせてください」そんな声掛けと共に、順番に給食がプレートに乗って子どもの前に運ばれてきました。

その間、子ども達は一言も話しません。そして、突然ピアノが鳴ります。子ども達は目をつぶり、先生の挨拶。

 

「お父さんお母さん、今日も美味しい給食をいただきます」

 

ここで初めて子ども達が「いただきます」と口を開きます。

 

では、なかの幼稚園のお弁当はというと、お弁当の時間になり、

 

先生
お弁当にしようか!

 

すると子ども達がワイワイとグループで集まって、自分たちの机を運ぼうとします。この時グループで揃わないと机は運べません。みんなで持たないと重いですから。

 

Bくん
Aちゃんが遅いから〇〇グループが先にテーブル持っていっちゃったよー!

 

そんな声が聞こえることもあります。そして、テーブルが置かれると、手を洗い、自分の椅子と弁当の入ったカバンを持ってきて着席します。

 

そこで当番の登場。当番は机を拭く準備をします。テーブル拭きをゆすぎに行っている当番が、なかなか戻ってこないこともあります。それでも子ども達は仲間を待っています。

そして戻った当番が机を拭き、「お弁当出してもいいですよ」と指示を出す。お弁当のシーン、やっぱり待たなきゃいけないことはありますが、先生が指示を出すのを待つのか、仲間が戻るのを待つのか。

 

「はやくしてよ」という声も聞こえます。待ってる子がいつも威張っている子で、待たせている当番の子が大人しい子。そんなシーンを想像してみてください。

いつも威張っている子に、この時、主導権は無いんです。大人しい子が今日はたまたま当番。その子の主導権。その子が指示をしなければお弁当は始まらないのです。

 

Cくん
ちゃんと待っててよね!

 

そんなことが言えたら最高ですよね。

当番はみんなのお弁当が並ぶまで待っている。この間先生の顔を見たり、指示を待ったりすることはありません。「いただきます」のタイミングは、その当番の子が自分で決めます。

 

それでは、その間先生は何をしているのでしょう?

先生はその様子を見守りながら、援助の必要なところには援助に入ります。それが先生の役割。みんなをリードしたり指示を出したりするのは、先生ではなく仲間同士。それがなかの幼稚園のお弁当なのです。

 

そしてお弁当を食べ終わり、「ごちそうさま」をするタイミングは自分で決めます。それぞれが自分のお弁当を片付け、カバンと椅子をしまいます。

先生の指示や仲間を待つ。そんなことはありません。ゆっくり食べる子はゆっくり食べて、早く食べる子は早く食べ終える。

そして「ごちそうさま」と言う子、言わない子もいます。そこは指導の必要なところかもしれません。

 

以前、職場体験で来た2人の中学生(同じ幼稚園だったようです)が、こんなお弁当の様子を見て、「絵本読んでなくていいんだ!」「早く食べ終わったら沢山遊べるってこと?」「遅い子待たなくていい?俺いつもさ、〇〇君に早く食べろよ!って言ってたなー」との声も…

 

タケル先生
自分たちの生活は自分たちの手で。大人に支配されるのではなく、自分達で。お弁当は大事なグループワークなのです!「自分達は生活を自分達で進められる、進めてもいいんだ」という価値観を身につけてもらいたい。そしてそれを自身に仲間との生活を築いて行ってほしい!

 

ここが〝お指とお指を合わせプレートが運ばれてくる昼食〟と〝自分でカバンからお弁当箱を出して、食べ終えたら自分でお弁当箱をカバンにしまう〟

そんな生活。さぁ私達が子ども達に望むのはどんな生活なのでしょう。なかのは〝自分達で〟を大事にしてきた、そんな幼稚園なのです。

 

タケル先生
私たちは、「主体的、自主的である子どもに育ってほしい!」と願っています。生活を進める、活動をする、遊ぶ、どんな時も大人に管理されるのでなく、自分で、自分たちで決めて進めていく、という価値観を、力を身につけて欲しいと願っています!

 

 

園長先生のつぶやき

実は、なかの幼稚園は「子どもには楽しそうでいいけど親には大変だから…」と敬遠されることもあります。その理由の代表格が「毎日お弁当」。

でも、園に子どもを通わせる保護者には「お弁当だからいいこと、いっぱい。やってみたらそんなに大したことないし、お弁当を理由に止めるなら、もったいない!」という方がほとんどです。最後にある、保護者の方が「あり得ない⁉お弁当週5」ということで描いてくれたマンガも読んでみて下さい。

 

園長先生
お弁当のデメリット、手間がかかるなどは実際あります。でも、「それを超えるメリットがある」から続けています!

 

お弁当のいいところ、他にもたくさんあります。園長が考えるところ、各先生が思うところ、お家の方目線でも。たくさんのいいところの、一つの例として。また、理念として大事にしている所。今回の理事長からの「お弁当を考える」でした。

*クリックすると拡大できます

 

 

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