【Part2】子ども達が自分たちで作る!なかの幼稚園の運動会リレー!?

前回、リレーで遊び始め、ルールが出来ていく様子をお伝えしました。

【Part1】子ども達が自分たちで作る!なかの幼稚園の運動会リレー!?

2021年10月28日

 

その後、クラス対抗や、3クラス(そら組は全部で3クラス)対抗戦になっていきます。クラス対抗戦が始まると、より強く「勝ちたい」とも思う子が増えるので、リレーに関する話し合いも熱が入ります。

今回は、そんな様子を、3クラスのお便りの抜粋からご紹介します。

 

 

リレーに関する話し合いは、こんな感じで盛り上がっていきます!

①リレーって、一人で戦ってるの?

クラス対抗戦が始まったころです。「リレー、走るのやだな・・。」という子がいました。

そうですよね。走るのが楽しい子もいれば、いろんな理由で、走るのが嫌な子もいます。このクラスは、そんな子の気持ちを考えました。

 

先生
リレー、ドキドキする気持ちのマー君。「ぬかされるのがいやなんだよ」のきもちがありました。なにか、この気持ちにいい考えはないかな、とクラスの仲間の知恵を借りることにしました。

 

Aちゃん
練習したらいいよ!
B君
抜かされないように、練習する!
先生
練習大事ってことだね!
Cちゃん
はじめの人が遅ければ抜かれない
D君
逆だよ!早い人がいっぱい走ったら抜かれない!

 

リレーって、自分が抜かされたとしても、次の人にバトンを渡しさせすれば、後ろの人たちが抜き返してくれたり、順位を守ってくれたりしますよね。そんな話題になりました。マー君より後ろの走者だったB君が、

 

B君
マー君!オレが抜かしてやるよ!
E君
助けてもらえるように、もっと(番号が)前で走ればいいよ!

 

他の人のやる気、勇気にもつながりそうな作戦です!

 

園長先生
「番号が前??」ですが、、、なかののリレーは、走者順も子ども達が自分たちで決めます。1番走りたい、2番目くらいがいい、最後がいい、5歳だから5番がいい、、、。

走っていくうちに、今回の様に「こういう場合は前の方」「こんなことがあるから1番は速い人」「最後は速い人」など、順番についての話題も上がってきますが、なんにせよ、子ども達が自分たちで決めていきます。大人からは、意外な順番になることもあります。

 

マー君の気持ちの事を考えているとき、こんな話題にもなりました。

 

子供達
「抜かされるのは私もヤダー」「おれもー」
先生
そりゃ、抜かされて嬉しい人はいないよね。でもさ・・。一生懸命走って、抜かされちゃったとする、それって負けなの?
Aちゃん
さいごまでやらなきゃわからないよ
子供達
「リレーは一対一の勝負」「手をつないだ人との勝負(同じ番号で走る人との)」

 

などなど、意見が分かれました。そして、個人戦と思っている子もいることがわかりました。そこで、こんな話をしました。

 

先生
1番から3番の人は1位で走ってきて、そこで抜かされて4~10番の人が2位、抜き返して11~14番(アンカー)の人が1位で走ったら、4~10番の人は負けってこと??

 

子供達
ちが~う!!
E君
みんなが協力してがんばるってこと!
Aちゃん
最後の人とかが、抜かしてくれるってこと!

 

リレーは、途中で抜かれても負けじゃない!最後まで走らないとわからない!そして「みんなの力を合わせて戦っている」というところを話していきました。

マー君の話を通して、リレーの大切なところ、感じて欲しいと思うところを考えていく機会になったな、と思いました。

 

 

②実際に走って決める!

(写真:これは違う日ですが、かけっこ決めです)

リレーに取り組み、だいぶたったころ。クラス対抗も何回かあり「勝ちたい」の気持ちで練習をしている子達もいました。そんなころの様子です。

 

このチームは、人数を揃えるためにお助けが一人必要です。

黄色チーム(帽子の色をもとに、黄色チームと白チームになっています)からお助けをお願いすると、シュン君、Aちゃん、Bちゃん、C君が立候補。かけっこ決めで、良ーいドン‼と走ると、4人ともすっごくいい勝負!

競り合いつつ、シュン君、Aちゃん、Bちゃんが同着!!C君もあとちょっとだったー・・。

 

園長先生
お助け決めや順番決めの時に、どうやって決める?というとき。話し合って決めることもありますが「お助け」「アンカー」「1番」など、速い人が走った方がいいという時にはかけっこで実際に走って決めるという事が多いです。もちろん、実際に走って負けて、すねる子もいますが、そこは年長。本気勝負で決めていきます。

 

同着の三人で2度目かけっこ。結果‥さいごにスピードを上げたのは、シュン君でした。お助けは、シュン君に決定!

しかし、周りはザワザワ!!

 

子供達
「あのシュン君に、女の子がいい勝負!!!」「すごい!!」

 

と走り切った女の子たちにびっくりのみんなです。

 

先生
みんなはシュン君はめーっちゃ速い人と思っているみたい!あのスピードに追いついている!!というかんじでした
子供達
「AちゃんとBちゃん、速くなったね!」「練習したからだよ!」「練習すれば本当に速くなるんだ!!」

 

と練習のやる気スイッチがより入ったみんなでした。

 

園長先生
このクラスは、男の子に速い子が多く、女の子に速い子が最初はいなかったので「女の子=速くない」という印象のあったクラスでした。

担任の先生たちと供に、どうなるのかなー、と思っていたら、しっかり仲間を見ているみんな。速くなった、という時にちゃんと気が付くんですね。その、思い込みがちゃんと新しい情報に刷新されていく、というところが良いところだと思います。

 

 

③作戦をみんなで考える!?

対抗戦!自分たちのチームの事もですが、自分達のクラスの別のチームの事も見ている子ども達。同じクラスの仲間の事を、真剣に考えていく姿、さすがそら組だなー、と感心します。そんな様子がお便りにありました。

 

対抗戦の結果は、、、黄色チーム1位、白チーム2位でした。1位は気持ちよくバンザイ!2位の時はうれしい、より悔しいのみんな。でも、黄色チームがしっかり見ていたのです。白チームが2位だった理由を、、、

 

子供達
だってさー?白チームはー、、、

 

と、対抗戦後、地面に図を書きだしていました。

 

子供達
「白はさー。みんな〇で待ってた!」「★でまってたのしーちゃんとひーくんだけだったよー」

 

とのこと。それは事件だ!

 

園長先生
このクラスは、バトンをもらう時は★の場所インコース側でもらうほうが、〇の場所アウトコース側より速くなる、だからバトンは★の所で!という作戦がありました。お部屋で振り返ると、、、

 

子供達
「うっかりしてた」「わすれてた」

 

こんな子もいましたが、中には、

 

子供達
「知ってた。でもさー、ムリだったんだよ」「そう、もう★に他のクラスの子がいたんだよ」

 

なるほど、行きたくても行けなかった人もいたんだ。でも、だからといって〇でもらうと遠いし、、、どうしよう、、、

 

Aくん
並んでて、前の人が走ったらもらう場所にすぐ出るのは?他のクラスよりはやい!

 

なるほど。『前の人がいなくなったらすぐ出る!』作戦です。

 

Bちゃん
他の人がいて〇の場所になっても、★の場所にいなくなったら、すぐ★にずれれば??

 

という『他の人がいなくなったら線の近くにずれる』作戦も思いつき、作戦に加えることにしました。

 

 

園長先生のつぶやき

(写真:運動会には、そら組がクラスで作った旗も飾りました)

子ども達の話し合いは深いですよね。毎年、リレーの話し合いの子ども達のやりとりはびっくりさせられます。「よく見てるな」「よく考えてるな」と感心します。

 

このリレーの話し合いの中に「なかの幼稚園への質問の答えになる事」があると思います。

 

なかの幼稚園についての質問の一つに、

 

「子どもの自主性に任せる、と言いますが、それで大丈夫なんですか?やらない子は、やらないままなんですか?」

 

というのがあります。最初のクラスの話し合い「走るのが嫌」という気持ちが話し合いのきっかけの場面であったと思います。

「え!?リレー、走るのが嫌、なんて言っていいの?」という方もいたかもしれません。運動会のメインの競技に、嫌って言っていいの?プログラムは絶対やらせるんじゃないの?という考え方もあると思います。

走るのが嫌という子は「いや」と言ってきます。だって「嫌な理由がある」のですから。ただ、ここである通り、そのままではありません。クラスのみんなが解決を探してくれたり、支えてくれたりします。もちろん、先生達もその手伝いをするし、必要であれば先生が解決案を出していきます。小さい組では、先生が対応することが多いですが、そら組は大人より仲間の力が大きくなります。

 

園長先生
自分の「いや」がわかれば、解決策が考えられるし、それで「いや」がなくなれば取り組みます。「自主性に任せること」「やらないと主張すること」どちらも大切にしています。でも、それが「放っておくという事ではない」というのが、この話し合いの様子で伝わるかと思います。

 

先生たちは、やれたら良い!という活動を用意しているので、やらない子を放っておくつもりはありません。そして、「いや」を乗り越えてやれた時、子ども達は何か自信や達成感をつかんでいきます。

 

また、見学に来た方たちから「勝ち負けがあったり、個人の名前が出たりすると、けんかやいじめにつながらないんですか?」という質問が時々あります。

勝ち負けがトラブルのもとになる事も、個人を出すことがトラブルのもとになる事もあります。ですが、原因にも結果にも、途中のプロセスやその時の気持ちにも考えが及べば、変ないがみ合いにはまずなりません。

最後のクラスが、「やってなかったよ」とさらっと伝え、それに対し「そうだった」と率直にできていなかった自分を認める子も、「でも」と理由を述べられる子もいる。

 

園長先生
マイナスもプラスもクラスの仲間の前で話し合える。そういう間柄を作っていければ「勝ちも負けも、悔しいも嬉しいも、物事に取り組むためのエネルギーになる」と思っています。

そして、すべての話し合いの中で、自分の気持ちと向き合う事、相手の気持ちを考える事。この力が育っていくのも感じます。とっても大事な力ですよね。

 

なかの幼稚園 運動会

(写真:運動会開会式)

2020年の運動会にもありますが、体と共に心も大きく成長する、そら組の運動会です。

 

 

 

 

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